佐渡ヶ島4泊5日ツーリング 前編|リトルカブと島をぐるり一周。夕陽と朝焼けを追いかけた旅

直前まで行き先を迷いながら、気づけばフェリーに乗って新潟へ向かっていた。ハイエースにリトルカブを積み込み、海沿いを気ままに走る離島旅。

前編では二日かけて島の海沿いをぐるりと巡る。そこには爽やかな初夏の空気が流れ、どこまでも続く青い空と海に、何度も心を奪われた。

天気にも恵まれ、気づけば景色を追いかけるより、空の色が変わる時間を追いかけていた。

目次

出発直前、旅先を変えた理由

毎年恒例となっている、誕生日のおひとり旅。今年も無事?妻からOKをもらえたので、フェリーを絡めて、どこか遠くへ出かけようと思った。

当初の計画では日本一周中に巡った、隠岐諸島への再訪だった。

でも運悪く、島前内航船が定期ドック実施で休止し、車両と共に島間を渡るにはかなり不便だった。さすがに一日一便だけだと、宿泊場所の制限がきつい。

次点では九州のミヤマキリシマ、稀に見る当たり年とSNSで騒がれていた。ただこれもピークを過ぎているのと、さんふらわあばかり乗るのもなぁ、と今年は我慢。

佐渡島は花の季節の縦走路や、大野亀のトビシマカンゾウなど、美しい景色を堪能するなら5月下旬〜6月上旬がベストだが、これも出遅れた感が否めない。

だけど最終的には、「初上陸」という好奇心が勝った。佐渡島に行き先は決まった。

上陸前夜、下道500km走って直江津へ

道の駅河野に駐車するハイエース、夕焼けで空が焼けている

自宅のある大阪から新潟までの距離はおよそ500km。高速でサクッと行ってしまいたい気持ちもあったけど、ぼくひとりの旅はできるだけ節約したい。

高速移動だと眠くもなるし、下道でまったりドライブ。早めに出てしまえば、乗船前に少しくらい仮眠も取れるだろう。

仕事を半休で切り上げて、急いで自宅へと舞い戻る。シャワーを浴びてご飯を食べて、15時過ぎに自宅を出発した。

滋賀に抜けるまでが結構混むんだけど、時間が早かったおかげでスムーズに流れた。湖西道路を抜け、あとはひたすら国道8号を進んだ。

道の駅河野で一回目の休憩。夕日を期待したがまだお預け。そのあとは何度かトイレ休憩を挟んだが、それ以外はノンストップでひたすらハンドルを握る。

リトルカブをハイエースにトランポ

ハイエースの荷室に積載されたリトルカブと折り畳まれた積み込み用のラダー

タイトルでなんとなく察すると思うが、佐渡島を巡るのはリトルカブ。島内でレンタルする訳ではなく、相棒をそのまま持ち込むことにした。

毎年恒例のこの旅は、バイクとフェリーの組み合わせが定番。ただ新潟まで原付で自走は、日程的にも体力的にも現実的ではない。

そこで以前から構想があった、ハイエースのトランポ化を実施。リトルカブは車体が軽く車高も低いので、アルミラダーでの積み込みやすさは抜群。

慣れれば積み込み完了まで、5〜10分程度でいける。親不知の曲がりくねった道路も、車体の固定も安定していて全く問題なかった。

港近くの海浜公園、静かな前夜車中泊

ハイエースの後続可能距離、残り6kmと少ない表示

予定通り順調に進んでたんだけど、給油のタイミングには要注意。主要国道とはいえ8号線沿いも、夜遅いと空いているガソリンスタンドは少ない。

まだ行ける、まだ行けると先送りにしてたら、最終的にかなりやばくなった。航続可能距離6kmなんて初めて見たわ…。

基本夜間の長距離移動に備えて、20L携行缶を積んでるんだけど、タイミング悪く空だったのを忘れていて、燃料切れに恐々とする夜だった。

直江津港近くの海浜公園で車中泊するハイエース

直江津到着後は、上越市立水族博物館うみがたり近くにある海浜公園で車中泊。といっても3時間程度の仮眠しかできなかったけど。

ここは直江津港周辺でも数少ない車中泊スポット。フェリー乗り場まで車でわずか5分と、乗船前夜泊には最適な場所だった。

トイレも夜間自動点灯でかなり清潔、駐車場も平坦で寝やすかった。街中だけど通りの道路はそこまで交通量は多くないので、夜も静かでとても快適に眠れた。

ハイエースの荷室に積載されたリトルカブのすぐ隣には、折り畳みマットや枕、ブランケットが置かれている

登山用の折り畳みマットを敷いて、ブランケットにくるまって仮眠した。リトルカブと隣り合わせ、かなり新鮮な夜だった。

ハイエースだとバイク積載しても、まだ一人分ぐらいの就寝スペースは確保は余裕。改めてハイエースの積載力の高さを感じた。

仮眠を終えてから少し移動、ハイエースは駅前へ預けることにした。

パーキングスペース直江津駅前

フェリー乗船前に、直江津前のコインパーキングに入庫。事前リサーチでは、24時間最大料金が500円と安く、駅近くで人目にも付きやすく安心感があった。

ちなみに直江津港前の有料駐車場は小型車で1時間50円、1日利用しても1,200円。そこまで高くないので、島内に持ち込まない人は港前に停めるのがいいと思う。

フェリーに乗り込み、いざ佐渡島へ

直江津港カーフェリー乗り場に並ぶ乗用車の列
直江津港に停泊する佐渡汽船こがね丸

直江津港カーフェリー乗り場に到着。すでに乗用車の待機列ができていて、係員の指示でバイク勢は別レーンへと誘導される。

乗船直前に最前列へと移動し、乗船するこがね丸の前で待機。佐渡汽船のフェリーはバイクを優先的に乗船させてくれるのがありがたい。

こがね丸船内の二等客室

ライダー特権で船内に一番乗りし、2等船室の場所確保。今回のスタイルだとそこまで必要に感じなかったが、充電できるコンセント付近は争奪戦だ。

各位スペースの区切りに戸棚があり、荷物やヘルメット置きにちょうど良い。平日なのもあり利用客で混雑することもなく快適だった。

佐渡汽船こがね丸船内にある有料の貸し出し用毛布

船内では一枚100円で毛布の貸し出しがある。迷わずレンタルしてすぐに爆睡。夜通し運転した後に、3時間睡眠はやはりきつい…。

佐渡汽船こがね丸のデッキから佐渡ヶ島を眺める、空には青空が広がる

下船の時間が近づいて、船内のアナウンスで目覚めた。支度を済ませてデッキに出てみると、佐渡島はもうすぐそこに近づいていた。

朝の直江津は薄曇りだったが、海上を進むうちに青空が広がってくれた。船上で感じる潮風は、ちょっとひんやりして眠気覚ましにちょうどよい。

小木港に到着、佐渡島ツーリング開始

佐渡ヶ島の小木港の到着したフェリー、ランプウェイが降りるのを待つライダー達

定刻通りに小木港に到着、アナウンスに従い車両甲板へと戻る。乗船と同じくライダーが優先なので、最前列で係員の合図を待つ。

ランプウェイがゆっくりと降りてゆく。この時だけは世界の動きが遅く感じる。さながらぼくたちは、まるで出走を待つ競走馬のようだ。

そして係員の合図とともに、ライダーたちは、それぞれ思い思いの方向へ散っていく。佐渡島を巡るツーリング旅がはじまる。

蒼い海を左に眺めながら時計回りで進む

青空と海を背景に沢崎鼻灯台に並ぶリトルカブ

小木港周辺には矢島・経島のたらい舟や宿根木など、見所が多いがまずはスルー。予報通り快晴だったので、まずは島の外周を時計周りで、最北にある大野亀を目指す。

まずはじめに足を止めたのは、南西端に位置する沢崎鼻灯台。佐渡島の灯台の中では一番の高さを誇り、ぼくが乗船した直江津-小木航路のフェリーの目印にもなる灯台。

手前には広場があり、灯台とリトルカブのツーショットを撮影。佐渡島上陸の高揚感を抱えたまますぐ走り出したが、ここでまずは一呼吸入れた。

高台から眺める万畳敷

沢崎海岸一帯は隆起波食台と呼ばれる、海底が地震によって盛り上がってできた平らな土地が広がる。少し進んだ先の道路からは、この独特な景観を一望できた。

ここは万畳敷と呼ばれる夕日の名所。潮の満ち引きによって海水が溜まると鏡のようになり、空の色が美しく反射する。佐渡のウユニ塩湖とも呼ばれ、撮影スポットとして人気だ。

ここは島をぐるりと一周したあと、もう一度夕日を狙って戻ってくることになる。

佐渡ヶ島の海沿いの道路に停車するリトルカブ、カーブの先には岩場が見える

佐渡の海岸線を走っていると、道沿いに突如巨大な岩場が表れたりするから面白い。適度なアップダウンもあるので、視界に広がる景色に飽きることなく進んでいく。

リトルカブのミラーに映る空と海と道
坂道を駆け上がるリトルカブ、背景には青い海が広がる

素浜海水浴場を過ぎたあたり、一時的に海から離れる瞬間があった。そしてミラーに映る景色を見て、思わず足を止めて振り返った。

なだらかな坂道の続く先には、コバルトブルーの海が広がる。そばには愛車リトルカブの姿。パコブルー&佐渡ブルーのコラボ。

バイク旅だと、つい景色と愛車を組み合わせに夢中になる。この旅で海を背に走るのはここだけだったので、なかなかお気に入りの一枚だ。

目当ての食堂は休み、でも最高の昼ごはん

佐渡ヶ島の海鮮丼で有名な長浜荘の外観、入口には休業中の看板が掲げられている

佐渡島と言えば新鮮な海の幸、初日のランチは長浜荘と決めていた。ここは具沢山の海鮮丼で有名な店なんだが、なんとまさかの休業日…。

Googleマップでは定休日なかったのですっかり油断していた。昨晩も朝もご飯食べてなかったので、空腹度MAXで今すぐにでも何か食べたい。

もうその辺りの適当な店に入ろうか迷ったけど、ぐっと堪えて佐渡中心街へ。

廻転寿司弁慶の佐渡本店の外観

そしてやってきたのは、廻転寿司 弁慶。佐渡に本店を構えるこのお店は、魚屋直営の強みを活かして、佐渡沖で獲れた新鮮な地魚をリーズナブルに提供してくれることで人気。

廻転寿司弁慶のBセット

まずはセットメニューのBセット(中)を注文。

中身は、中トロ・真いか・天然ぶり・あじ・白身・つぶ貝・甘えび・いくら・カニ味噌・穴子に、あら汁か海老の頭の味噌汁、どちらか好きな方が選べる。

セットには他にも単品で佐渡サーモンやぶりなど、佐渡産のネタをいくつか単品で注文。大満足のランチだった。

佐渡西側を巡りつつ、ひたすら海沿いを北上

長手岬の入口にある石碑
佐渡ヶ島の夫婦岩

お腹も膨れたので、佐渡一周線に戻り北上を再開。相川までは海沿いをぐるっと大回り。長手岬、夫婦岩など要所を抑えつつ、気になる場所はその都度足を止めた。

春日崎の草原にぽつんとリトルカブ、背景には青空と海

完全にノーマークだったんだけど、春日埼はすごい良かった。東屋の隣には開放的な草原が広がり、空と水平線の展望も抜群。気づけばまたもやリトルカブの撮影会。

このエリアは島の中心部からも近く、夕日の撮影スポットとしての下見も兼ねていた。実際に足を運んで春日埼がピンと来たので、ここも後編で再訪することになる。

この先の相川エリアは、佐渡金山や北沢浮遊選鉱場跡など観光名所が盛りだくさん。ただ後編でじっくりと巡る予定だったので、通り過ぎて次に向かったのは千畳敷。

佐渡ヶ島の千畳敷にある海にかかる橋、周りには透き通った海が広がっている
佐渡ヶ島の千畳敷にかかる橋からの眺め、青い透き通った海と岩場が見える

ここにはフォトジェニックな橋があり、周囲には透き通った海が広がっていた。佐渡ブルーをサクっと体感するには、気軽に立ち寄れてすごく雰囲気が良い場所だった。

弁慶のはさみ岩、隙間から海が見える

巨岩の間にくさび型の大岩挟まれた、弁慶のはさみ岩も圧巻。佐渡弁慶が鬼と力比べをした時に、投げ飛ばした岩が岩壁にすっぽり挟まったという伝説で知られる。

まあそれはそれとして、なんでこんな奇景が生まれるんだろうね。ほんと不思議。”落ちない”岩として縁起が良いとされ、合格祈願にも人気のスポットらしい。

佐渡ヶ島の海沿いの道路から平根崎方面の景色

この先にある尖閣湾や平根崎は、時間の都合上一旦パス。この辺りは今見るべきか、後に回すか結構迷いながら進んだ。この辺りで佐渡の大きさを実感していた。

まだ佐渡の中心からそう離れておらず、後日再訪するチャンスありと判断。最北周辺で見逃せない場所を優先することにし、ここから小一時間は走りに集中。

Z坂を登り切った頂上付近からの景色、青い海と緑が広がる

佐渡北部にある跳坂を登り切ると、思わず声を上げたくなる絶景が広がる。ここは「Z」の字に似た急カーブを描くことから、Z坂とも呼ばれている。

佐渡島はサイクリストにも人気で、島の外周を一周することをサドイチと言う。ここはサドイチの最大の難所の一つとして知られる。

ここを登っていると、ふと自転車日本一周していた記憶が脳裏に浮かぶ。何度も激坂に泣かされていたので、バイクの偉大さを噛み締めながら登った。

舟隠し岩周辺の美しい水色の海

そして、この舟隠し岩は完全にダークホース。たまたま休憩中にGoogleマップの口コミで見かけて、何気なく寄ってみたが大当たり。

ここはかつて舟にかかる税金徴収を逃れるために、漁民が舟を隠していた場所らしい。波がほとんど立たず、岩場にひっそりと佇む姿はとても神秘的だった。

佐渡の海はどちらかというとコバルトブルー、青みが強いイメージだったが、ここはもっと淡い水色で、透明度が抜群。佐渡の中でもお気に入りの場所の一つ。

花の見頃を過ぎた初夏の大野亀を歩く

手前の道路から岩場と海越しに眺める大野亀

そしてようやく本日のメインの登場。海に突き出た巨大な一枚岩、大野亀が見えてくる。トビシマカンゾウの群生地としても有名で、佐渡屈指の絶景スポットだ。

見頃を過ぎて枯れてしまったトビシマカンゾウ

トビシマカンゾウは、国内で二か所しか自生していないとても貴重な花。開花時期は例年5月下旬~6月上旬と短く、ギリギリ間に合うかと期待していたが、残念ながら見頃は過ぎていた。

大野亀の斜面に咲くトビシマカンゾウ、遠くには海に浮かぶ二ツ亀が見える
大野亀から海を見下ろす景色、波に打たれる岩場と斜面に咲いたトビシマカンゾウが見える

それでも海側の斜面には、まだまだ多くの花が残っていた。青い海と黄色いお花のコントラストが美しい。ベストシーズンは逃したけど、十分すぎるほど美しい風景だ。

昼過ぎの時間帯で海沿いの斜面に陰影がつく大野亀

夕暮れが近づこうとする時間帯、太陽が傾きによる斜面の陰影が際立つ。日が当たる部分のトビシマカンゾウは、まるでスポットライトが当たったかのように輝く。

せっかくなので大野亀の頂上を目指してみることに。標高167メートルと大した高さはなく、片道15分ほどで登れる。とはいえ、後半は急坂なので割と疲れた。

大野亀の頂上にある石灯籠
大野亀頂上から眺める景色、海と緑豊かな大地と湾岸沿いの道路が見える
大野亀頂上付近から登山道方面を見下ろす、眼下には草原と青い海が広がる

頂上には善宝寺の石塔が祀られていて、外海府の海岸線や青く澄んだ日本海を見渡せる。360度の大パノラマが広がるので、この開放感を味わうためだけに登る価値はあると思う。

頂上付近は藪っぽくなってるので、汚れて困る服装なら中腹まで少しだけ登るのもおすすめ。振り返れば高さのあるダイナミックな視点で大野亀を見下ろせる。

佐渡最北端、二ツ亀で絶景キャンプ

キャンプ場から眺める二ツ亀と看板

大野亀を堪能したあとは、本日の野営地である二ツ亀キャンプ場へ。隣接するSADO二ツ亀ビューホテルが管理、ホテルロビーで受付。一泊1,500円也。

節約旅なので当初は無料キャンプ場のみで計画していたが、ここはどうしても泊まりたかった。二ツ亀は日本でも珍しい水平線から太陽が昇り、水平線に太陽が沈む場所。

つまり夕日と朝日を同じ場所から見られる、全国的にも非常に珍しいキャンプ場だ。ましてやこれほどの快晴を逃す手はない。しかも平日で利用者も少なく落ち着いている。

二ツ亀キャンプ場に設営された白いテントとそばには木製ベンチ、奥には青い海が広がる

到着がそれほど早いわけではなかったが、海の展望が良い最前列にテントを設営できた。実はこのキャンプ場は全体的に傾斜地が結構多く、海沿いに平坦な場所はかなり少ない。

そのため、先にチェックインしていた二組は、海沿いを避けて設営していた。釣り人や純粋なキャンパーという感じだったので、ぼくとは目的が違うのも良かった。

ちなみにトイレは虫まみれで、サイトの草刈りも一部分のみ。たぶん海水浴シーズンじゃないのも影響してるかもだけど、有料キャンプ場なのに全体的に管理は甘い。

年々値上げしているみたいで、隣接するお風呂も1,000円はちょっと高い。…とまあ色々言ったけど、抜群のロケーションに勝るものはないので我慢我慢。

荷物を広げた瞬間、旅の誤算が発覚する…

SOTO フュージョントレックとそのままでは使えないカセットガスのCB缶

敷地内にあるコインシャワーですっきりし、日没までまったり晩御飯でも食べよう。そう思って手持ちのバーナーを用意していると、この旅で最大のミスに気づく。

SOTO フュージョントレックは、OD缶専用の分離式バーナー。これは自己責任になるんだけど、市販の変換アダプタを接続すれば安価なCB缶も使えるようになるんだよね。

防災備蓄で自宅にCB缶が大量にあるので、この旅で積極的に消費したくてこの組み合わせを採用。でもその肝心の変換アダプタがなく、お湯が沸かせずポカーン状態。

サトウのごはんと美味しい防災食の肉じゃが

消費期限が近くなったパウチご飯と防災食。これも防災備蓄の消費で選んだのに、肝心のご飯が温められない。結局肉じゃがだけを常温でそのまま食べることに。

改めて事前準備の大切さに気付いた瞬間。いつも行き先を直前まで迷うから、準備も忘れ物が多いので反省。まあ明日の昼には両津港近くまで行くので、なんとでもなるだろう。

海に沈む夕日と長く続くマジックアワー

二ツ亀キャンプ場から眺める海に沈もうとする夕日、手前の白いテントに西陽が当たり、看板と二ツ亀はシルエットになっている

そしてようやく迎えた待望の夕日の時間。なんやかんやトラブルあったけどもう気にしない。シルエットになった二ツ亀のそばを、ゆっくりと海に向かっていく太陽。

西日を横から受けて、キラキラ輝くテントのフライシート。夏場は虫が寄ってきてウザいと毎回思うこの色も、この時だけは白にして良かったなーと思える。

二ツ亀キャンプ場から海に沈む夕日を眺める、手前には白いテントと看板

この日は遠くまで空気が澄んでいて、水平線に綺麗に沈む夕日が見れた。

いつもはあっという間に沈んでしまうのに、佐渡島が少しだけ日没の時間を遅らせているようにも感じた。

テントの隙間から外を眺める、シルエットになった看板とマジックアワーの空が広がる

本来なら刻一刻と色が変わる時間帯のはずなのに、グラデーションの空は長く続いた。完全に日が沈んでから、約一時間ほど空は明るいままだった。

テントの中に入り、マジックアワーの空をぼうっと眺める。最高のスタートの初日の余韻を噛み締める。本当に佐渡に来てよかった。

そう思いながら、気づけば眠りについていた。

肉眼でも見えた、二ツ亀の満天の星空

二ツ亀キャンプ場から眺める天の川

アラームをかけていた訳ではないんだけど、夜中にふと目が覚める。ぼくは自然豊かな場所に野営すると、勝手に体内時計が起動する。

寝ぼけ眼で空を見上げると、ソフトフィルターにかけたように星が滲む。空を見上げた瞬間、満天の星空だとすぐに理解する。肉眼でもはっきりと見える天の川。

二ツ亀キャンプ場から眺める星空、風王には看板と後ろには二ツ亀のシルエットが見える

ウラジオストクまで769km。数字だけ見れば気の遠くなる距離だが、この果てしない景色の中では、海の向こうが少しだけ身近に感じられた。

背景の星空には一筋の流れ星と、シルエットになった二ツ亀の姿も。遠くまで来たことを、静かに実感するような瞬間だった。

朝焼けの空に見送られ、二日目スタート

二ツ亀キャンプ場の朝日と白いテント、水平線と雲の間から太陽が顔を覗かせる

そして迎えた翌朝、日の出の時間を待つ。つい数時間ほど前に星を見ていたのに、もう空はオレンジ色に染まっている。

水平線の向こうから、少しずつ光が漏れ出してくる。昨日からめまぐるしく移り変わる空の色に、翻弄され続けている。

太陽が顔を出すと、海に煌びやかな柱ができた。すぐ真上には羊雲が集まってきて、下から光を受けて赤く染まり出す。

朝焼けの光を浴びて輝く二ツ亀
二ツ亀キャンプ場から眺める、朝日を浴びて赤く染まる大野亀

昨日の夕暮れ以降、シルエットだった巨岩達。朝日を受けて赤く染まり、まるで目覚めるように、二ツ亀と大野亀が姿を表す。

二ツ亀キャンプ場に広がる朝焼けの空と白いテントと看板

やがてオレンジだった光達は、黄金色に輝きながら羊雲を照らす。美しい朝焼けで見送ってくれて、最高の形で二日目のスタートを切る。

早朝の撮影を終えて満足したので、テントに戻って二度寝をかました。だって時刻はまだ5時過ぎだし、睡眠が細切れなので眠すぎた。

しばらくは心地よく眠っていたが、蒸し暑くて目が醒める。日差しがダイレクトに当たるので、テントの中はサウナみたいになっていた。

島を南へ、佐渡を一周する後半戦

二ツ亀キャンプ場の撤収途中の様子、白いテントのそばにあるベンチには寝袋やマットが広げられ、背景には大野亀と看板がある

外に出ると潮風が火照った身体を優しく撫でてくれた。離島なので風が強いことが多いらしいが、この日も穏やかな風で心地よかった。

ホテル駐車場からリトルカブを連れてきて、まったりと撤収作業を開始。基本バイクの横付けはできないけど、荷物運搬時だけは例外。

愛車と横並びに写真を撮ることができるのは、キャンプ場利用者だけの特権。荷物をまとめる時の雑多な雰囲気は、旅情感があってとても好きだ。

大きな亀達との戯れを終え、両津の街へ

二ツ亀キャンプ場から海水浴場へと続く坂道を下る、視線の先には青い海が広がる

昨日は夕方で海の色彩を失っていたが、今朝は順光で海の青さがくっきり。二ツ亀へ続く細い道の両脇に、美しい佐渡ブルーが広がる。

二ツ亀海水浴場へはキャンプ場から降りられる。このまますぐ出発するのももったいない。せっかくなので少しだけ散策をすることに。

緑色のギョサンを履いて素足が、波打ち際を歩いて濡れる

お気に入りのギョサンで海に飛び込み、波打ち際で少し水遊びをする。泳ぐには冷たすぎる海水は、眠気覚ましにちょうどよい。

二ツ亀海水浴場から海越しに見える大野亀

二ツ亀海水浴場まで降りると、別角度からの大野亀を拝むことができる。丸みを帯びた亀っぽさは薄れて、先端が尖った岬のような、また違った雰囲気を楽しめる。

ここからもう半周をスタートすると、この最北エリアへは再訪予定はない。後ろ髪引かれていることに気づき、最後にもう一度だけ大野亀を歩くことにした。

青空の大野亀、手前には見頃を過ぎたトビシマカンゾウが咲いている

朝は人も少なく静かな遊歩道をまったりとお散歩できた。素直な晴天順光で空の青と、草原の緑がよく映える。定番の構図だけどこれも抑えておかないとね。

手前のトビシマカンゾウは控えめ、ここは日当たりが良いので枯れやすいのだろう。今度来るときは家族を引き連れて、花盛りの時期にまた来ようと思う。

大野亀ロッジのソフトクリームを手に持つ

少し汗ばむ身体に、大野亀ロッジのソフトクリームの甘さが染みる。まだ梅雨入り前だけど、この日差しの強さはもう夏と言ってもいいぐらい。

佐渡名物の大きな亀たちと朝の戯れを終え、ここから本格的に移動を再開することに。まずはそのまま海沿いを走り、佐渡の玄関口の一つがある両津を目指す。

両津港の街中を走る道路、両脇の建物の隙間から青空と白い雲が見える

特に寄り道することなく海沿いを快走し、小一時間で両津に到着。夏を感じさせるもくもくし雲が商店街の隙間から顔を覗かせる。

ちょうど佐渡中央ぐらいに位置し、もう少し進むとだいぶ栄えた雰囲気になる。家電量販店や飲食チェーン店もあり、いい意味で離島らしさを感じさせない。

後半はこの付近に拠点に構えて、観光名所を巡るつもりだ。周辺の利便性をチェックして、ガソリンスタンドで給油、用事は先に済ませておいた。

あとは地元スーパーに入って、品揃えや価格をさらっと下見。だいたい物価は本州より2割増って感じで、鮮魚は流石に安くて量も多い。

昨晩からまともにご飯を食べていなかったので、流石にお腹ペコペコだ。誘惑を振り切って予定していたお店へと移動。

地魚定食と看板猫、そして海沿いを進む

キッチンよろこんでの外観、入り口には準備中の看板と寝そべる猫の姿
玄関マットの上で目を細めながらねそべるサバトラ猫

両津港近くにある定食屋、キッチンよろこんででお昼ごはん。開店時間に合わせて時間調整していたので、行列に並ぶことなくスムーズに入店できた。

お店の玄関マットには、猫が寝そべって寛いでいた。近くを見渡すと他にも何匹かウロウロしていたので、この辺りに住み着いているのかも。

きっちんよろこんでの地魚刺身定食のご飯大盛り

地魚刺身定食のご飯大盛りを注文。新鮮な佐渡産の地魚が、豪快な舟盛に乗せられている。お値段は2,080円也。

毎日提供される魚は異なり、この日はひらめ、たい、ぶり、クロダイ、メジナ、イソダイ。ぶっちゃけ、どれがどれかよく分からない笑

厚切りで歯ごたえがあり、新鮮なのは間違いない。付け合わせのブリカマの煮付けはほろほろで、ご飯がめっちゃ進む濃い味。

ちょっと値段は高かったけど、価格に見合うクオリティだ。ようやくご飯にありつけて復活、ここから海沿いの気になる場所を巡っていく。

麓から見上げる姫崎灯台、青空と絹のような雲が上部に広がる

次に向かったのは、姫崎灯台。地図で言うと佐渡島の一番東端あたり。現存する日本最古の鉄造りの灯台で、世界灯台100選にも選ばれている。

白い六角形の灯台が、青空にすっと立つ姿が印象的。見上げると、絹糸のような薄い雲が広がっていた。派手さはないけど、佐渡島の灯台では一番好き。

姫崎灯台の敷地内にある庭園

灯台の手前には個人で管理している花畑があり、観光客向けに無料開放してくれている。ちょうど手入れをされてて、話を聞くとなんと島外の方。

実家がこの姫崎灯台の近くで、普段は東京の品川で生活しているらしい。それにも関わらずこのクオリティ…。すごすぎる。

他にも無料キャンプ場があるので、野営地候補として下見も兼ねたけど、ここへは廃ホテルを横切る形になり、怖いので今回はパス。

海沿いの道路から眺める岩場に無数のうみねこが留まっている

赤茶色の岩場で群れるウミネコ。すぐそばにある防波堤の間から漁船が出航していくが、気にする様子もなく寛いでいる。

赤亀岩の洞穴周辺には透き通る海が広がる

ぽっかりと空いた洞穴、赤亀岩の周囲には透き通る海。この辺りの岩場は赤茶色が多く、周囲の海とのコントラストが際立つ。

海沿いの気になる景色があれば、足を止めて写真を撮る。初日と同じ動きだけど、見どころが集中しすぎないので、まったりと進む時間が心地よい。

岩首昇竜棚田を見下ろす長め、棚田の隙間を縫うように農道が走る

海沿いの集落を抜けて、山間を進むと岩首昇竜棚田が見えてくる。最上段には展望台も設置され、写真愛好家からも人気の場所だ。

ちょうど今は田植えの時期で、田んぼには水が張られている。朝焼けのリフレクションがとても美しく、その下見も兼ねてここまで上がってきた。

細い農道を登ることになるので、小型のバイクか軽自動車推奨。ところどころとんでもない斜度で、一速でひいひい言いながら登った。

佐渡ヶ島の養老の滝

途中の分岐にあった、養老の滝もチラ見。駐車場からすぐなので気軽に立ち寄れる。遊歩道のひんやりとした空気が心地よかった。

余談だけど、同名の滝が全国にいっぱいあるよね。特に有名なのは岐阜の養老公園だと思うけど、なんでこんなにたくさんあるんだろう。不思議。

灯台のそば、海辺に今夜の拠点を構える

松ヶ崎ヒストリーパークの敷地内にある鴻ノ瀬鼻灯台、そばには白いテントが設営されている

一通り巡りを終えたら、松ヶ崎ヒストリーパークへ。ここは全国的にもとても珍しい、灯台のそばに設営できるキャンプ場。

小木まで戻るとキャンプ場がないので、今日の寝床はここに決定。先ほど下見した岩首昇竜棚田からも近く、翌朝の撮影も考慮して選んだ。

松ヶ崎ヒストリーパークに設営した白いテント、目の前には海が広がる

目の前には日本海と気持ち良い芝生サイト。トイレも清潔でしっかりと管理されていて、完全無料で予約不要なのが素晴らしい。

海沿いを走れば小木港、山間部を抜ければ佐渡市街地と、アクセスも良い。佐渡島の無料キャンプ場では、ここが一番バランスが良いと思う。

サンライズ城が浜の外観
サンライズ城が浜にある畳の休憩室

設営を終えたら少し南側に走り、サンライズ城が浜へ。日帰り入浴は600円也。内湯はガラス張りで海側の景色が開放的。サウナあり。

畳の休憩部屋もあるので、風呂上がりはここでゴロゴロ。旅先で何もしない時間があると、ゆとりがあって贅沢な旅に感じる。

大将の暖かい人柄と絶品カツ丼に癒される

佐渡ヶ島にある上生カツ丼が有名な春日の外観
佐渡ヶ島にある上生カツ丼が有名な春日の店内小上がり、写真やカレンダーなど賑やかな壁面

すぐ目の前には、春日という食事処がある。実はここの口コミが気になって、夜ご飯はここと決めて、時間調整して開店を待っていた。

店内はこじんまりとした、島の居酒屋という雰囲気。店内には佐渡島の写真が多く飾られていて、壁面はとても賑やかだ。

佐渡ヶ島にある春日の名物料理、上生カツ丼

このお店の名物である、上生カツ丼。新潟はタレカツ丼が有名だけど、ご飯の上にスライスたまねぎを敷いて、溶き卵を上からかけるオリジナル料理。

ところどころカツのサクサク感が残り、甘いタレと卵がほどよく絡んで美味。ご飯大盛りでも1,100円という安さも魅力。

なにより大将の人柄が最高。お互い写真好きなのもあり、しばらく写真談義で盛り上がる。

この後、夕日を見に西海岸まで出るのを迷ってると言うと、「絶対に行った方がいい!」と、急いで料理を提供して、背中を押してくれた。

島一周の終わりへ、最後の景色を追いかける

坂道を登った先に見える丸い夕日、手前にはシルエットになった電柱とリトルカブ

春日の大将に背中を押された勢いのまま、小木を越えて西海岸へ。坂道を駆け上がった先、シルエットになる電柱とリトルカブ。

視線の先には、まんまるの夕日が顔を覗かせる。今日は最高のコンディション、下見をしていた万畳敷へと急いだ。

万畳敷で出会った優しいグラデーション

万千畳のマジックアワー、水平線に夕日が沈みそうになる、斑模様の海底に空のグラデーションが反射する
万畳敷の夕日、水平線近くに丸い太陽と手前の海には空のグラデーションが反射している

日没寸前の万畳敷とマジックアワーに染まる空。自然が作り出した斑模様に、優しい空の色がリフレクションしている。

水平線に沈もうとする夕日は、輪郭がはっきりとしている。鏡のような静かな海面には、薄い紫やピンクの色彩が滲むように広がる。

高台から見下ろす万畳敷、海にマジックアワーが反射し、潮が引いた浅瀬はモノクロになっている

優しいグラデーションが万畳敷を包み込む。水平線には薄紫色の帯が横に伸び、海底だけ色を失ったようにモノクロへ沈んでいく。

ちょうどここで家族からのビデオ通話。息子と妻にもこの景色をシェアしながら、お互いの今日一日を報告し合った。

小さな子供がいる父親なのに、たまにこうした自由な時間を持てる幸せ。妻や息子、家族には本当に感謝しかない。

暮れゆく空を背に、海辺の拠点へ戻る

マジックアワーの空とリトルカブとヘルメットのシルエット

暮れゆく空に別れを告げて、設営したキャンプ場に戻る。実はアウターを着忘れてしまい、帰りは半袖・短パンで凍えながら帰った。

これでちょうどぐるっと、佐渡島を一周したことになる。海沿いをただ走るだけだったけど、素晴らしい景色にたくさん出会えた。

特に大野亀、二ツ亀で過ごした時間は特別だった。時間帯によっても表情を変え、美しい空と海で完全に心を掴まれた感じがある。

海沿いを中心に巡った前半戦はここで一区切り。後半は海沿いだけではない、佐渡島の魅力を深掘りしていく旅になる。

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