前日に伯耆大山の日帰り登山を終え、海沿いを走りながら鳥取へ。夜は道の駅「神話の里 白うさぎ」で車中泊をした。
せっかく遠くまでやってきたのに、ご当地グルメらしいものはまだ何も食べていない。前日の登山で消費したカロリーを補うべく、朝からがっつりしたものが食べたい気分だった。
とはいえ、まだ朝の早い時間。飲食店が開くまで待つつもりだったが、調べてみると朝8時から営業している喫茶店があるらしい。しかも、名物のカレーが評判だという。
こうなれば、もうカレーの口。お目当てのお店がある鳥取駅周辺へと向かった。



車は近隣のコインパーキングに駐車、時刻はまだ9時過ぎ。鳥取駅周辺のメインストリートだが、街はまだ目覚めたばかりといった様子で、人通りもまばらだった。
商店街もほとんどの店が開いておらず、本当に営業しているのか少し不安になる。
そんななか、店先に掲げられた「OPEN」の看板を見つけてひと安心。お目当ての喫茶ベニ屋は、ちゃんと営業していた。

店内は暖色系の照明に照らされた、昔ながらの喫茶店らしい落ち着いた雰囲気。テーブル席やソファー席が並び、朝の静かな時間が流れていた。
この時間帯はまだお客さんの姿もなく、店内はまさかの貸し切り状態。旅先の老舗喫茶店を独り占めする、なんとも贅沢な朝のひとときだ。

メニューを開くと、喫茶店らしくドリンクの種類が豊富。特にジュース類が充実していて、トーストやケーキセットなど、喫茶店らしい軽食や甘味も揃っている。
一方、ごはんものはカレーが中心。店の看板に「カレーとコーヒーの店」と掲げるだけあって、カレーへの力の入れようがうかがえる。
そして、もうひとつ見逃せないのがかき氷。なかでも有名なのが、ココア風味のシロップに練乳を合わせた「インドミルク」だ。カレーと並ぶベニ屋の名物で、夏にはぜひ味わってみたい一品。
今回は真冬の訪問だったこともあり、ひとまずお預けにした。
1948年創業のベニ屋は、長年にわたって鳥取の街で親しまれてきた老舗喫茶店。看板のカレーは創業当時から受け継がれてきた味で、地元の常連客だけでなく、県外から訪れる人にも人気があるという。


今回注文したのは、一番人気というチキンカツカレー。カレーといえば、やっぱりカツは外せない。
目の前に運ばれてきた一皿を見て、まず目を引くのがルーの色。一般的なカレーよりもずっと黒く、チョコレートやコーヒーを思わせるような深い色合いをしている。
ルーは粘度が高く、ぽってりとした質感。具材の形がほとんどわからないほど、じっくりと煮込まれているのが特徴だ。
その仕込みにもこだわりがあり、豚骨スープをベースに、10日以上もの時間をかけてカレールーを仕上げているという。長い時間をかけて生まれる深い色合いと濃厚な味わいが、ベニ屋のカレーを特徴づけている。
そんなカレーに合わせるチキンカツは、薄めの仕上がり。後からカレーにのせて提供されるため、衣のサクサクとした食感がしっかり残っている。
肉は厚くないものの、そのぶん柔らかく、スプーンでも切れるほど。濃厚なカレーと軽やかな衣の組み合わせがよく合う。
ひと口食べると、見た目の濃さから想像するような重たさだけではなく、じっくり煮込まれたルーならではのコクが広がる。長年受け継がれてきたというのも納得の味わいだ。
朝からチキンカツカレーという、なかなか景気のいいスタート。前日の山歩きで消費したカロリーを取り戻すには、申し分のない一皿だった。
ベニ屋の黒いカレーは、レトルト商品としても販売されている。店舗で調理したカレーをそのままパウチしたという、こだわりの一品だ。
今回味わったチキンカツカレーのルーが気に入ったなら、自宅でもあの味を楽しめるのはうれしい。
朝8時から営業しているため、観光やドライブに出かける前の腹ごしらえにもぴったりな喫茶ベニ屋。鳥取の街に根付く老舗の味を、旅の朝に楽しむことができた。
次に訪れるときは、夏の名物「インドミルク」もぜひ味わってみたい。黒いカレーを目当てに訪れたはずが、もうひとつの楽しみまで見つかった朝だった。
喫茶 ベニ屋
住所:鳥取県鳥取市末広温泉町129|地図
営業時間:8時〜17時半
定休日:水曜日
駐車場:なし(近隣コインパーキングあり)

